ブログ説明

株式会社フルハシ環境総合研究所による環境問題、環境経営に関する提言・オピニオン発信を目的としたサイトです。

2015年9月4日金曜日

56.実家がジオパーク-伊豆大島ジオパークで環境・防災教育について考える-(2)

GMMは地球環境問題を前向きに解決し、「緑豊かな」地球を目指すという意
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 2015年9月4日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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   GMM [Green Mail Magazine] No.269
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【本日の特集】
家がジオパーク-伊豆大島ジオパークで環境・防災教育について考える-(2) 
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伊豆大島ジオパークでは、現在約100のジオサイトが紹介されています。これらジオサイトを巡るツアーのなかで、今回私は主峰三原山(標高758m)の火口を歩いて一周する「お鉢めぐりコース」を体験してきました。徒歩7km2時間15分。登山気分を楽しみながら、変化に富んだジオサイトを学ぶことができます。今回は体験したジオサイトの中で特に印象に残ったものをご紹介します。

【ジオコース体験① 大型のアグルチネート

 登山道を登り詰めると、大きなダンゴムシ状の岩が3つ見えてきます。1986年の噴火では、火口を満たしたマグマは斜面を流れ落ちました。この時に、マグマの湖を溶岩が押し上げられ、他のマグマの破片とくっつきながら成長し、約500mも流されました。この溶岩の塊をアグルチネートといい、このダンゴムシ状の岩の正体です。高さ約5mもの大きさのアグルチネートが流氷のようにマグマに乗って流れてくる光景を想像すると、自然の力の凄さを感じます。



 

【ジオコース体験② 火口南展望所‐火孔内】

 地面を抉り取ったようなこの火孔スケールの大きさには圧倒されます。火孔の直径は約300m、深さは約190m。60階建てのビルがすっぽり入る深さと言えばイメージが湧くでしょうか。鉄分を含んだ溶岩が高温状態で空気にふれて酸化したため、壁面は赤く色づいています。壁面からは現在も水蒸気が立ち昇り、火山が活きていることを感じさせます。また、壁面の崩落が進んでおり、年々火孔底の深さが浅くなってきていますので、興味を持たれた方はお早めに。



 

【ジオコース体験③裏砂漠】

お鉢めぐりコースからは外れますが、その異様さを体感していただきたいのは裏砂漠です。一面細かい火山噴出物で覆われた黒い砂漠で、国土地理院作成の地図において、国内で唯一「砂漠」と表記されている場所です。黒い大地、青い空、白い雲が織りなすクッキリとしたコントラストは、あたかも異界にいるような錯覚を覚えます。

この砂漠のような景観は、風が強く保水性に乏しいこと、火山ガスの影響などで植物の発芽が阻害されることによるものです。また、黒い砂の中には宝物が隠されています。それは噴火の際にマグマの一部が引き伸ばされて糸状のガラス片となったもので、ハワイの火山の女神に由来して「ペレの毛」と呼ばれています。ここで見つけたものは少し太めですが、それでも触ると崩れてしまうくらい繊細なものです。火山の生み出す不思議を、是非とも探してみてください。


 
 

さて、ジオパークの雰囲気は少しでも伝わったでしょうか。この雰囲気を頭の隅に留めつつ、次回はジオパークという観点から環境教育について考えてみたいと思います。(所員:中林)

 

○日本ジオパークネットワーク

http://www.geopark.jp/

 伊豆大島ジオパーク

 
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【発行】株式会社フルハシ環境総合研究所 


 

55.実家がジオパーク-伊豆大島ジオパークで環境・防災教育について考える-(1)

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 2015年8月28日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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   GMM [Green Mail Magazine] No.287
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【本日の特集】
実家がジオパーク
    -伊豆大島ジオパークで環境・防災教育について考える-(1)
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突然ですが、私の実家は伊豆大島です。東京から約120km、船で片道約1時間45
分の離島ですが、東京都。一昔前は有名な観光地でした。
そんな伊豆大島、実は「日本ジオパーク」に認定されています。本特集では、
私が体験した伊豆大島ジオパークの魅力をお伝えするとともに、ジオパークと
いう観点から、環境教育・防災教育について考えてみます。

【ジオパークってなんだ?】
 ジオパークとはユネスコの支援によって2004年に設立された組織「世界ジオ
パークネットワーク(GGN)」が認定する自然公園のことです。現在日本には、
36の日本ジオパークと7の世界ジオパークがあります。※1
ジオパークは、「科学的に見て特別に重要で貴重な、あるいは美しい地質遺産
(地層・岩石・地形・火山・断層等)を含む一種の自然公園地」と定義されて
います。では、ジオパークは「世界自然遺産」や「国立公園」と何が違うので
しょうか?
世界自然遺産は、その地域の自然の「保護」を目的としています。これに対し
て、「保護しつつ、それらを地域の教育や科学振興、および観光事業に活用し、
持続可能な方法で地域を活性化させる」のがジオパークです。文章で書くと簡
単に見えますが、保護と活用、教育と観光、地域住民(内部)と観光客(外部)
など、対立しがちな概念が詰め込まれているのが分かります。この対立を調整
しながら、地域を持続的に活性化させる。そのバランスの取り方は各ジオパー
クで様々であり、そこがジオパークの個性の基となっています。
【大島全部がジオサイトの野外博物館!】
伊豆大島は火山の島です。噴火によって成り立ち、現在でも噴火を繰り返して
います。2003年に火山噴火予知連絡会が出した活動度分類では、特に活動的な
13の活火山に数えられています(同じランクには阿蘇山や桜島があります)。
古くから島民は噴火を御神火、火山を御神火様と畏れ敬い、同時に親しんでき
ました。直近の噴火は今から29年前の1986年。この時の噴火は全島民が避難を
余儀なくされた大規模なものでした。長いスパンでみると約100年~200年に1回
のペースで大噴火が起きていると考えられています。
そのような訳で、伊豆大島ジオパークの火山関連のジオサイト(ジオパークの
見どころとなるもの)は非常に質が高く、豊富です。大島全体がジオサイトの
野外博物館といっても過言ではありません。このジオサイトを巡るコースは
「ジオツアー」と呼ばれています。次回は、私が実際に歩き体験した、伊豆大
島の魅力あるジオツアーをご紹介します。(所員:中林)
※1 国内の認定機関に「日本ジオパーク委員会(JGC)」があり、ここで認定
されると「日本ジオパーク」となる。さらにJGCからの審査と推薦を受けると
、「世界ジオパークネットワーク(GGN)」の加盟申請を行うことができ、認
定されると「世界ジオパーク」となる。
○日本ジオパークネットワーク
http://www.geopark.jp/
○伊豆大島ジオパーク
http://www.izu-oshima.or.jp/geopark/

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発行】株式会社フルハシ環境総合研究所